食品衛生講習会

食品衛生講習会

6月17日(火)、東松山市役所唐子市民活動センターで食品衛生講習会が開催されました。この講習会は埼玉県子ども食堂ネットワークの第15エリア(東松山・小川町・滑川町)の活動として行われ、講師として埼玉県保健医療部食品安全課から2名の方にお越しいただきました。

受講者からは「1年前に衛生について学んだことがあり自身でも意識していたが、改めて話を聞くことで衛生管理の重要性を再認識した。子どもたちの命を守るために徹底して取り組みたい」との感想が寄せられました。日本全国では毎年2~3千件の食中毒事故が発生しており、死亡事故に至るケースも少なくありません。特に子ども食堂では、調理時間が長く複数人で作業することから一般家庭に比べて食中毒のリスクが高まる傾向があります。この講習会は大切な利用者の命を守り、また運営者自身を守るためにも必要不可欠なものとなりました。

講習会では、「食中毒の『毒』について」「食中毒事故と衛生管理について」「効果的な手洗い方法(実践)」という3つのテーマに沿って進められました。
「食中毒の『毒』について」では、原因菌の種類や発生源、予防方法について詳しく解説されました。また、日常生活で菌が広がるリスクや、100℃で加熱しても芽胞を形成して生き残る菌がいることも紹介され、加熱処理だけでは十分ではないと学びました。

「食中毒事故と衛生管理について」では、食中毒予防の三原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」を徹底する重要性が解説されました。さらに、架空の事故事例を使ったグループワークでは、「ぬるい温度で食材を長時間放置した」「普段慣れていない業務に従事して正しい消毒方法を知らなかった」など、忙しい環境で起こり得る問題が話し合われました。調理場の整理整頓や洗浄→消毒の流れの徹底、団体内でのルールや知識の共有が重要であることも述べられました。

「効果的な手洗い方法」では、実験を通じて手洗いの重要性を体感しました。汚れに見立てた蛍光クリームを手に塗り、ブラックライトを当てて「アルコール消毒」「ウェットティッシュで拭く」「石鹸で1度洗う」「石鹸で2度洗う」方法を比較します。その結果、アルコール消毒やウェットティッシュではほとんど汚れが落ちず、1度洗いでは不十分で、2度洗いすることで初めてしっかり汚れが落ちることがわかりました。受講者からは「ここまで手を洗わないとダメなんですね。」「普段より丁寧に手洗いしたが、指の股や爪の付け根に洗い残しがあった。正しい手洗い方法を実践しないといけないですね」との声が寄せられました。

講師の方は、「わずかな菌量でも感染のリスクがあるため、食中毒予防には手洗いの徹底が最も重要です」と強調されています。また、予防のために適切な温度管理、十分な加熱処理、保管方法の遵守するということに加え、購入時のレシートやパッケージ写真の記録を取ることも有効であることを紹介いただきました。さらにアレルゲン表示される品目が変わることがあるため、製造日が古い食品はよく確認するなどの注意喚起もありました。

本講習会は衛生に関して学べる非常に有意義な場となりましたが、各食堂によって利用者数や調理場の環境など状況が異なることかと思います。今後、判断に迷う場面があれば、埼玉県に個別の対応について相談することも可能とのお話がありました。子ども食堂がすべての皆様にとって安心・安全な居場所であり続けられるよう、全員で衛生管理に取り組んでいきましょう。

★埼玉県のHPに本講義でも紹介された手洗いの方法が載っています。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/tewoaraou/tearai.html
★コバトン食の安心情報では、食の安心・安全に役立つワンポイントアドバイスが毎月更新されています。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/kensyu-koza-panf/ansin-joho/index.html